海上自衛隊の一等海佐が特定秘密保護法違反などの疑いで書類送検された。元上司のＯＢへの特定秘密の漏洩（ろうえい）とされるが、内容は明らかにされておらず、検証も困難だ。同法は危うさが指摘されており、懸念は強まるばかりだ。
　一佐は海自の情報業務群（現・艦隊情報群）司令だった二〇二〇年三月、自衛艦隊司令官を務めた元海将に「我が国周辺の情勢」などに関する特定秘密を漏らしたとされる。一四年に施行された同法初の摘発で、酒井良海上幕僚長は謝罪＝写真＝し、防衛省は一佐を懲戒免職処分とした。
　同法は、特定秘密を漏らした者に最長懲役十年、教唆した者にも五年以下の懲役を科すと定める。昨年六月末時点で計六百九十三件が特定秘密に指定され、防衛省関連が三百九十二件を占める。
　秘密漏洩は自衛隊法なども禁じている。特定秘密保護法は当初から必要性が疑問視された上に、特定秘密の定義の曖昧さが国民の知る権利を侵害しかねないと批判されてきたが、当時の安倍政権は米国との情報共有に不可欠だとして成立を強行した経緯がある。

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2023年1月12日 07時40分
東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/224800