【ニューヨーク＝藤原健作、溝田拓士】岸田首相は２１日午後（日本時間２２日未明）、訪問先の米ニューヨーク市内で韓国の 尹ユン錫ソン悦ニョル 大統領と約３０分間、懇談した。両首脳は、「元徴用工（旧朝鮮半島出身労働者）」問題などを念頭に、両国の懸案を解決し、健全な日韓関係に戻す必要性を共有した。首脳間の意思疎通を継続することも確認した。

　日本政府は、両首脳の対話を「会談」ではなく「懇談」と説明している。一方、韓国大統領府は「岸田首相と略式会談を行い、お互いの関心事について意見交換した」と発表した。両首脳による「初の略式会談」だと強調している。

　両首脳は、現在の戦略環境で日韓は重要な隣国であり、日韓、日米韓の協力を推進することが重要との認識で一致した。北朝鮮への対応でも連携を確認し、尹氏は拉致問題の解決に向けた日本の取り組みを改めて支持した。外相間など外交当局間の協議加速を指示することも申し合わせた。

　両首脳が言葉を交わすのは、６月にスペインのマドリードで開かれた北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）首脳会議に合わせて、現地で短時間、会話を交わして以来となる。

　日本政府は今回、元徴用工問題の解決が見通せない中で首脳会談を行うのは時期尚早と判断し、正式な「会談」とは位置づけなかった。ただ、韓国側の関係改善への姿勢は評価しており、非公式の「懇談」として対話に応じた。

　両首脳による会談を巡っては、韓国大統領府が今月１５日、「日本側と開催で合意した」と発表したものの、日本側は「合意の事実はない」と否定していた。

読売新聞オンライン　2022/09/22 07:19
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220922-OYT1T50107/